院長のコラム

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在宅医療35

2月、寒さが骨身にしみますね。昨年は新型インフルエンザが私達をパニックに陥れました。残念ながら、亡くなった方もおります。新型インフルエンザに関しては多くの人は免疫を持っていません。そのためワクチン接種で免疫を作るのが最も一般的です。流行は若年者に多くみられ、そのほとんどが軽症で済んでいます。最近では50代以降の方にも感染が広がっているようです。50代以降は重症化の危険因子を持っているため、70代〜80代に感染が広がっていくのも時間の問題と思われます。特に集団生活をしている老人ホーム、病院などは厳しく感染者を遮断せねばなりません。私は普段からマスク、室内の加湿を怠りません。冷水浴をやって自律神経を鍛えています。それでも、万全とはいえません。何よりも、心労を避け、よく眠ることが大切です。

在宅医療34

新年明けましておめでとうございます。昨年は新型インフルエンザ(以後新型と記す)の流行や不況が重なり大変でした。今年は良い年にしたいものです。

さて、冬の大敵といえば風邪、特にインフルエンザです。スペイン風邪、アジア風邪、香港風邪、新型の発生と10年〜40年サイクルで新しく変化します。興味深い点は、新型が発生すると既存のウイルスが消えてしまうことです。ただし、ソ連風邪が流行したときは香港風邪ウイルスは消失しませんでした。今後、1種類または3種類になるのか注意が必要です。

不覚にもかかった時は看病する人はマスク、手袋を使用し、換気を頻回に行い空気中のウイルス濃度を下げ、湿度は60%以上に保つようにしてください。患者さんがご高齢の場合、脱水は危険です。経口摂取可能なら経口補水液が良いでしょう。

在宅医療33

12月、今年は新型インンフルエンザが日本中を騒がせました。現在は低年齢層〜20代の若年層を中心に感染の広がりをみせていますが、今後は徐々に全年齢層へ拡大していくことでしょう。

季節性インフルエンザの場合は年間一万人の方が亡くなると言われています。その内の90%以上を65歳以上の方が占め、その多くは、脳血管障害、重い心臓病、呼吸不全、癌を患っている方が細菌感染を合併し、病状が悪化して亡くなります。それゆえ季節性インフルエンザワクチンは必ず接種し、抵抗力を温存しなければなりません。

一方、新型は一部の若い方がウイルス性肺炎からいきなり呼吸不全を生じてしまうことがあり、この点が季節性と大きく異なる病状を呈しますので、よくよく注意が必要です。どうぞ安心なさらずに身体を温めマスクをして身を守ってください。

在宅医療32

今年は不況、そのうえ新型インフルエンザが私達を脅かしました。それでも、困難は乗り越えていきましょう。

さて本年はインフルエンザワクチンの数が例年に比べて極端に少なくなっています。何事も早め早めに対処されると良いと思います。特に、在宅療養中の患者さんは抵抗力が落ちているので、出入りする私達はマスク、手の消毒に気をつけ、ワクチンを接種し患者さんにうつさないようにしなければなりません。

ところで在宅でついつい遠のいてしまうのが検査です。血液検査は検体を保冷箱に入れて持ち帰らなくてはならない煩わしさがあります。ついついが重なると、いつか糖尿病の患者さんの高血糖に気がつかずに慌ててしまうこともあります。医院の中では気軽に出来る血液検査も、在宅では勝手が違います。何事も余裕を持ちたいものです。

在宅医療31

10月、秋になりました。今年は新型インフルエンザ騒ぎで冬の流行が懸念されます。特にご高齢で基礎疾患をお持ちの方は心配です。家族は自宅にウイルスを持ち込まないよう、マスク、手洗い、うがいを必ず心掛けて下さい。例年行っているインフルエンザワクチンも数に限りがあるようですので、早めに予約されることをお勧めいたします。

米国疾病センターの発表では、米国人の60歳以上では約33%の抗体が存在し、18歳〜64歳の方の中にも6〜9%の抗体を持っている方がいるそうです。過去にウイルス暴露をしたのでしょう。

したがって、いたずらに騒いでも仕方ありません。大切なのは基礎体力。睡眠を十分にとり、疲労をためないことが最も基本と考えます。また体が冷えないように温かいものを食べ、免疫力を保ちましょう。そして外出時にはマスクをお忘れなく。

在宅医療30

早いもので9月、秋の声が聞こえ始めました。

医者の七つ道具といわれるもので、有名なものに聴診器があります。これで心音、呼吸音などの人間が発する基本的な音を聞き分けます。ただし、寝たきりでうまく座位にできない時や、患者さんが洋服をたくさん着込んで脱ぐのに時間がかかり、ついつい聞きそびれてしまうこともあります。

私は、パルスオキシメーターを七つ道具の一つにして、患者さんの血中酸素濃度、脈拍を測定します。指にはめ、皮膚を通して酸素及び還元ヘモグロビンの透過度の違いを測定するのです。これは、急性増悪の早期のサインを見逃さないためです。特に胸水が溜まりやすい患者さんは、大量に溜まっても気づかれない場合があります。往診では十分な検査ができない半面、手軽に測定できて、その異変に初めて気づくこともあります。

在宅医療29

8月、暑い時季ですね。私は終末期医療にも関わっているため、臨終に立ち会うこともしばしば。あるがん患者さんは「ただ死を待つだけなら、好きなことをしていたい」とおっしゃり、ご自分の趣味を最期迄楽しみました。また「死を迎えるのは怖いですか」と尋ねると「いや、そんなことはない」と苦痛も訴えずに立派な最期を遂げた方もいらっしゃいます。

以前、小学生から「死って、何なの?」と聞かれたことがあります。「人間は精神と肉体が合わさって生きているけど死は肉体が滅んで精神だけが生き続けることをいうのだよ」と説明しました。それは、10歳で事故に遭い、私の夢枕で最期の別れを言いに来た兄との思い出から来るものです。兄の死後、見えない力で命拾いしたこともあります。もうすぐお盆です。あの暑い夏の日から40年も経ってしまいました。

在宅医療28

7月、暑い時期がやってきました。熱中症には十分注意して下さいね。
さて、重症の患者さんの在宅医療を担当すると、どうしても緊急が多くなり、看護師さんの活躍にしばしば助けられています。これまでも診療中や、夜間の緊急時にお世話になってきました。特に夜中のご臨終でも遠くから来て働いていただけるのには頭が下がる思いです。
最近“ナースプラクティショナー”という聞き慣れない言葉を耳にします。これは米国では既に一般化されていますが、今まで医師がやっていた医療行為の一部を看護師に任せることを指します。例えば、急変した患者さんへの対応を、医師にその都度聞くのではなく、看護師の判断に任せ医療行為を行うということです。そうなれば医師の疲弊がぐっと減り、特に在宅医療では、看護師の働きが大きな力になるでしょう。

在宅医療27

6月、梅雨の時季になり蒸し暑くなりますね。この時季は、紫外線による身体の不調の訴えや、疲労から帯状疱疹を発病することもあります。ご注意ください。

先月、往診でしばしば遭遇する病として、便秘症を取り上げました。適度な運動と薬物投与で軽快しますが、認知症があると、ご自分の意思を上手く伝えられないことがあります。中には布団を取り去り、お腹を見たらカエル腹になっていたということも珍しくありません。大腸がん等による機能性イレウス、特に閉塞がない麻痺性イレウスが原因として考えられます。後者の場合、お腹を温めたりガス抜きをしますが、往診を何人も抱えていると時間に制限があります。その場合は鍼治療を試み、効果のある時があります。吐き気のツボといわれる所に皮内鍼を挿入するだけで腸ぜん動が治ることもあります。

在宅医療26

5月、爽やかな初夏の日々。長く病床に伏している患者さんにも、天気の良い日は可能な限り新緑の世界を楽しんでいただきたいと願います。

さて、往診でしばしば遭遇する病の一つに便秘症があります。点滴のみで1ヶ月も便が出ないという方も珍しくありません。ただ、それでお腹が苦しい等といった訴えがなければそのまま様子を見ています。3日ないし10日に一度という方も多いからです。

下剤は、高齢の方には塩基下剤の一種で約60年にわたって使われている便秘薬の一つの酸化マグネシウムをよく使用します。習慣性が低くかつ安全だからです。ところが使用例で高マグネシウム血症による死亡が報告されました。腎機能障害がベースに存在すると起こしやすいようです。寝たきりの患者さんには注意が必要です。「薬も過ぎれば毒となる」です。

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